先日、病院のベッドの空き待ちで
入院予定のある入居者のご家族から
「看取りをお願い出来ませんか」との
問い合わせがありました。
僕の働く施設では
現状、職員の確保ができておらず、
そのため職員の育成も不十分と判断し、
看取られて旅立つ方に失礼があってはならないので、
現在のところはお断りさせて頂いているんです。
ご家族へは「看取りは行なっていません」と丁重に謝罪をし、お断りさせて頂きました。
長年、施設で生活をして頂いていたのですが、
毎回、終末期ケアには考えさせられます。
さて、今回の介護日誌です。
終末期ケアを考える
えむ子さん
看護武将、今回は終末期ケアについてのお話しですね。
現在では8割の方が病院で人生を締めくくっているんだけど…でもね、これが2030年には約47万人が病院でも施設でも人生を締めくくることが不可能だと厚生労働省が発表しているのね。これを「看取り難民」と呼んでいるのよ。
看護武将
自分が望む臨終は無理?
えむ子さん
現在でも、自分の最期を決められないで病院で最期を迎えられる方がいることに憤りを感じているのに、もっとヒドイ事態になるんですね?
ひと昔前の日本には家の中に「生と死」が共存していたのよ。赤ちゃんは家で生まれ、高齢になった祖父母は家で家族に囲まれ感謝を伝え旅立つことが出来たのよ。そこで旅立った家族のエネルギーを受け取り自然と命のバトンが受け継がれていたんだと思うわ。現代は企業で働くことで豊になったけど、このように外に出て働くことで家族の在り方も大きく変わってきたのよね。今は自宅で家族が介護をするのが難しいから施設で生活するけど、施設に入っていても治療が必要だと病院に送られてしまい、自分の理想とする旅たちは、ほぼ不可能ね。
看護武将
日本看取り士会
えむ子さん
そこで調べていて、私達が気になったのが「日本看取り士会」なんですよね。
そうなのよね。「看取り士」は本人や家族から依頼を受けると自宅のみならず病院でも余命告知から納棺まで寄り添うの。いずれも医師や看護師、ケアマネジャーとも連携を取ってくれるので介護制度の中で足りない部分をサポートするのよ。そこにある目的はね「看取られる方の死への恐怖を和らげること」なの。ここに寄り添うことで幸せな最期を共に迎えられると言いっていたわ。
看護武将
グリーフケア(遺族のケア)
えむ子さん
看取り士会の柴田氏の話しが印象的でした。「亡くなる間際に旅立つ方が死を受け入れると、とても穏やかになる」と言われているんです。また「そこで家族が手を握ったり体をさすることで温もりと安心感が生まれ赤ちゃんの頃に抱いてもらったように抱きしめて見送る」というお話しは感動しました。
そう、ここが大切だと私も思うわ。亡くなると手足は冷たくなるんだけど、お腹や背中は不思議と翌日から数日は温かいとも言っていたわね。柴田氏はこの期間はご家族に声をかけたり抱きしめることを勧めているんだって。そしてこのようにゆっくりとお別れし、命を見つめることがグリーフケアにつながっているのね。
看護武将
看取り文化は世界に広がる
えむ子さん
何かこういう話しを聞くと宗教的なことを考えてしまいますが、看取りの思想は現在、宗教の違いを超え海外にも広がりを見せているそうです。私達は死は忌み嫌うものではなく、今こそどう人生を締めくくるかを考えて生きていた方が幸せな旅たちを迎えられると思いました。
今後、「看取り難民」になる時代が来るからと待っているよりは、人は必ず最期の日を迎えるんだし、それなら後悔しないように60歳を過ぎたら自分で「最期」を決めて、家族と話しをすることが大事だと思ったわ。私も柴田氏の言葉で「旅立つ最期の時に家族と心が通った瞬間に顔に赤みがさす不思議でもあり荘厳な場でもある」と言っていた言葉に感動したの。どうしても避けて通りたい心理にかられてしまう人生の旅立ちだけれど、こうやって避けずに、正面から看取りについては改めて調べておくといいことがわかったわ。
看護武将
まとめ
えむ子さん
今回のお話しは、ご家族から相談されて調べている時に出会った「一般社団法人『日本看取り士会』会長の柴田久美子氏」のお話しを読んで感動して書かせて頂きました。
私自身、死ぬのは怖いです。だから人生の締めくくりをもう一度考えて行かなければならないと考えさせられました。
今回もお読みいただきありがとうございます。
看護武将